マンモトーム生検体験者の方から、検査前に知りたかったことについてアンケートをとり、皆さんが知りたかったことをまとめてみました。
マンモトーム生検を年間100症例以上実施する 関西医科大学附属香里病院 乳腺外科 部長 吉田秀行先生に回答をいただきました。
マンモトーム生検の検査時間はどのくらいなのでしょうか。
マンモトーム生検には、超音波ガイド下で実施する場合と、マンモグラフィ下で実施する場合の2種類があります。画像が異なる事によって、時間も多少異なりますので、2つに分けて説明します。
マンモグラフィガイド下
検査開始から終了まで、約30〜50分。
経験や病院の設備によって検査時間は異なると思いますが、当院では、約30分で終了します。
超音波ガイド下
検査開始から終了まで、約15〜30分。
マンモグラフィガイド下よりは時間が短く済みます。しこりの大きさによって、時間の差がありますが、長くかかっても約30分で終了します。
ただし、症例によって時間は前後しますので、あくまで参考にしてください。受診する際は、少し時間に余裕をもって来院されることをお勧めします。
マンモトーム生検にかかる費用はどれくらいでしょうか。
患者さんの負担金額(3割負担)は、20,000円前後くらいだと思います。
ただし、病理検査(診断料)は別途かかります。
特に、癌と診断された場合には、特殊染色をするので別途金額がかかります。
もちろん、病院によって金額が前後することがあるので、ご自身で事前に確認しておくといいですね。
マンモトーム生検は太い針を刺すと聞きました。
どのくらい痛みがあるのでしょうか。
痛みの種類には2つあると思います。検査中の痛みと検査後の痛みです。
■検査中の痛み
麻酔が痛いという声もありますので、私の場合、麻酔の経験を患者さんに確認するとともに、「歯医者さんで歯を抜歯するときに麻酔をうつ痛みと同じくらいの痛みになりますよ。」と事前にお伝えするようにしています。
マンモグラフィ下の場合、マンモグラフィで挟んでいる痛みはありますが、局所麻酔をするのでその痛みはやわらぎます。
超音波ガイド下の場合は、ほとんどの方が痛みを感じないと言われます。
もし、検査中、痛いと言われた場合は麻酔を追加する事もあります。しかし、ほとんどの場合は麻酔が効いているので、痛みを感じる方は少ないです。
■検査後の痛み
検査後の痛みは、患者さんに聞いたところほとんどないと言われます。
当病院では、積極的に痛み止めを処方しておりませんが、希望される患者さんには痛み止めを予防的に持って帰っていただくこともあります。
また、ご自宅にある痛み止めでも十分です。翌日以降でも痛みが消えないようなら、医師に確認してみてください。
マンモトーム生検後、傷跡は残るのでしょうか。
残るとしたらどのくらいでしょうか。
傷は約4mmの傷で、直後は、多少かさぶたになったり、目立つこともあるかもしれませんが、半年くらい経過すると、薄くなってほとんどわからない程度になります。
私は、正面からみて、目立たないように針を刺すようにしています。半年以上経って傷跡が残っているケースは、特殊なケロイド体質の方などを除けばありませんでした。
マンモトーム生検を受けて、乳がんと診断される割合はどのくらいでしょうか。
微細石灰化を指摘された方の中で、カテゴリー分類を乳がんのステージと勘違いされて、ご自身が乳がんであると思いこんでしまっている場合もありますが、全てががんというわけではないので、安心してください。
マンモトーム生検後の診断結果マンモグラフィ検診で微細石灰化が見つかった場合、カテゴリー3以上でマンモトーム生検を受けていただくことになります。
当院で、マンモトーム生検を受けて、乳がんと診断された割合は、下記の通りでした。
グラフを見ていただくとお分かりになると思いますが、カテゴリー3であれば、良性の可能性が高いです。カテゴリー5になると、乳がんの可能性が高くなります。
受診当日に、注意したほうがいいことはありますか?
また、受診後、すぐ仕事ができるでしょうか。
検査当日は、胸をぶつけないように注意してほしいです。検査当日にお風呂に入ることはやめてもらっています。これらは、再出血を防ぐためです。
また当日は、職種にもよりますが仕事は休まれたほうがいいと思います。検査直後にどうしても仕事をしなければならない場合は、事前に医師に相談してください。
受診日当日の服装はどのようなことに注意したらいいでしょうか。
検査後に針を刺したところを押さえるために、ガーゼを上から当てるので、ブラジャーは必ずつけて来てください。また、胸元が空いていない服のほうがガーゼなどが見えなくていいと思います。服装は、ぴったりした服よりもゆったりした服のほうがいいですね。
また、施設によっては検査当日に圧迫帯といってバストバンドをつけて帰る病院もあります。
マンモトーム生検施行後、良性だった場合と悪性だった場合で今後どのようなフォローをたどりますか?
■良性の場合のフォロー
微細石灰化の場合は、半年毎のマンモグラフィでの経過観察をお勧めしています。繊維繊種などのしこりの場合は、半年毎に乳腺超音波検査で経過観察をしています。微細石灰化の形や広がりが変化してきたり、しこりが大きくなってくれば再検査をする場合もあります。
■悪性の場合のフォロー
乳がんの治療方法に従って治療を始めていきます。治療専門の病院を紹介されることもありますし、そのまま同じ病院で治療を受ける場合もあります。
関西医科大学医学部卒業
日本乳癌学会会員 乳腺専門医,
日本外科学会会員 専門医,
日本乳癌検診学会会員,
日本緩和医療学会会員