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三好先生に質問!!

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患者様から寄せられる質問から代表的なものを三好先生にお答えいただきます。

どの乳がん検診を受けたらいいの?

■ それぞれの特徴を理解しましょう

マンモグラフィとエコーはそれぞれ得意としている点が違いますから、どちらがいい、ということではありません。それぞれの特徴に応じてどちらか一方、あるいは両方を受けることになります。

マンモグラフィ検診の利点・欠点
利点
  • 手で触れることのできないしこりを発見できる
  • 石灰化だけの段階でみつかれば100%に近い治癒が期待できる
  • 以前に撮ったレントゲン写真との比較が容易にできる
欠点
  • 被曝の心配がある
    ※飛行機で日本からアメリカ間を移動した程度です
  • 妊娠中・授乳中の女性は受診できない
  • 若い女性はがん(しこりや石灰化)と乳腺の区別がつきにくい
超音波検診(エコー)の利点・欠点
利点
  • 被曝の心配がない
  • 乳腺の発達している若い女性でもしこりを発見できる
  • リアルタイムで検査結果を見ることができる
欠点
  • 石灰化が見つけにくい
  • 操作中に判断するため、検査を行う医師あるいは技師の検査能力に依存する
  • 全体像を記録として残すことが難しい
マンモグラフィの画像

若い女性では乳腺の密度が高いためにマンモグラフィでは白く映ります。がんも白く撮影されますから、この場合にはわかりにくいこともあります。高齢の女性では乳腺の密度が低下するため、がんはよくわかります。(右写真参照)
エコーでは乳腺の密度に関係なくしこりを発見することが可能ですが、通常石灰化は見つけることができません。一方、マンモグラフィでは石灰化を生じる微小な乳がん(極めて早期の乳がんのことが多い)を発見することが可能です。

■ 年代・条件に合った検診を受けましょう

市町村で実施している乳がん検診は、40歳以上の女性を対象に、2年に1回の頻度です。20歳代の乳がんはまれですから、通常検診は必要ありません。しかし、血縁者(特に親子、姉妹)に乳がんの女性がいる場合は乳がんになりやすいと考えられますから、20代後半あるいは30代から検診を始めましょう。その場合にはマンモグラフィだけではなく、エコーも受けた方がいいと思われます。

年代別の乳がん検診の例
50歳以上マンモグラフィ(1年〜2年に1回)のみ
または
マンモグラフィ(1年〜2年に1回)+ 超音波検診(毎年)
第1度近親者(親子、姉妹)に乳がんの方がいる場合など

超音波検診(毎年)

マンモグラフィ(毎年)
40歳代マンモグラフィ(2年に1回)のみ
または
マンモグラフィ(2年に1回)+ 超音波検診(毎年)
30歳代ご自分の判断で受けて下さい
20歳代必要ありません

なお、妊娠中、授乳中の女性はエコーによる検診を受けて下さい。乳がん検診は40歳以上の女性を対象に、マンモグラフィを行うのが基本です。現在40歳代で、エコーと併用すると有効かどうかの試験(※J-START)が行われていますので、エコーを併用した方がいいのかどうか現時点ではわかりません。しかし、乳がんになりやすい女性、とくに40歳未満の女性ではエコー検診も受けた方がいいと思われます。
いずれの年代においても月一回の自己検診と、異常を感じたら専門機関を受診することが重要です。

J-START(ジェイ・スタート)とは、40代女性の乳がん検診において、マンモグラフィ検査と超音波検査の併用が有効かどうかを検証する比較試験のことです。厚生労働省が国家的プロジェクトとして立ち上げました。
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